小百合の場合(小説)その36
最初から読む→第一章「小百合の場合その1」
途中から読む→第二章「小百合の場合その11」
途中から読む→第三章「小百合の場合その22」
途中から読む→第四章「小百合の場合その30」
旦那からの電話。
別に今更構えることはないんだけど、やっぱり躊躇。
少し罪悪感もあって・・
出なきゃいけないか。
私
「はい、小百合です」
旦那
「ごめんな、回りくどいことして」
なんでいきなり謝るの?
悪いのは私のほうなのに。
旦那
「君の気持は分かった」
「でも最愛の人だから今後の事も含めて話ししたい」
その為の電話ってのは分かっている。
でも改めて言われると、何話して良いのか分からない。
旦那
「電話で話すだけっても切ないなぁ・・」
「一度どこかのファミレスでも食事行かないか?」
「コーヒー飲みながら」
そうね。
会ってみたら話すことも浮かぶかも。
ファミレスなら周りの目もあるし安心よね。
OK分かったわ。
快く了解してみる。
外出の身支度を整え、待ち合わせのファミレスに。
店の前で待ってる彼。
この光景なんか懐かしいぁ・・
ああ・・
思い出した。
このファミレス・・私たちがまだ若かった頃、お食事に使ってた店。
やるな旦那。
まだ未練があるか。
何も進展しないとは思うが。
とりあえず二人店内に入りコーヒーを注文。
おもむろに彼が話しかけてくる。
旦那
「何を話そうか迷ったけど」
「とりあえず伝えておかないいけない事」
「結婚してくれてありがとう」
「はい、これプレゼント」
えっ・・
渡された小さな箱。
中にはかわいい指輪。
何これ・・
旦那
「覚えてないかい」
「今日が二人の初デート記念日」
「君が絶対忘れないでねって言った日」
あれれ・・
忘れてた。
そう・・あれはもう8年前。
初めて彼に食事に誘われて。
一緒にこのファミレスに来て。
食事を終えて散歩してたら告白された日。
「月並みだけど僕とお付き合いしてください」って。
旦那
「特別な日だったから無理に誘ってしまってね」
「俺の為に時間貰ってありがとう」
懐かしい。
そんな時間もあった。
あの時は幸せの絶頂で、目に映るものが全てキラキラ光ってた気がする。
でも・・今は違う。
もう私はこのプレゼントを貰う価値の無い女。
気持ちは嬉しいけど、返すわ。
私
「覚えていてくれたのね」
「私でさえ忘れていたのに」
「でも・・もう私はこのプレゼントを貰うにふさわしくない女よ」
「お返しするわ」
旦那
「君の性格からそう言うと思ってた」
「だけど指輪のサイズは君に合わせた物」
「君の為に用意した物だから、君に貰って欲しい」
「特別な事など何もなく、遠慮なく貰って欲しい」
彼の気持ちが何だか嬉しいわ。
悪い気はしないし、貰っておくね。
貴方からの最後のプレゼントとして。
旦那
「そう言えば離婚の話しだったね」
「君の希望に全て合わせる」
「僕に出来る最後の愛は、君の希望を叶える事」
「何か望む事あるかい?」
なんだか今日の彼は全てにおいて優しい。
どうしたの?
復縁を願ってる?
でも、それなら離婚の話しなんてしないはず。
どうしたの?
何がしたいの?
戸惑う私。
私
「どうしたの?」
「今日はやけに優しいのね」
「何か下心でもあるの?」
旦那
「下心かぁ・・」
「もちろん一緒にやり直したいってのは有る」
「でも君の性格は一度口にしたら引かない」
「もう後戻りはできないって分かってる」
「ただね・・」
ただね・・
旦那
「俺は今も昔も変わらず、君を愛してきた」
「そして優しく接する事を心掛けてきた」
「俺はそんなに変わってないと思う」
「特に君に対する優しさは」
ああ・・そうだよね・・
恋愛中も結婚生活も、こんな感じで貴方は優しかったわ。
何も変わってないかも・・
私は気付かされる。
変わったのは私の方。
彼の浮気動画を見てからおかしくなりかけて・・
そして聖さんと出会い・・
運命の歯車に引かれて色々経験して・・
そう・・
一番変わったのは私。
彼の私に対する優しさは変わってない気がする。
旦那
「全て君の望み通りにする」
「これで良いかい?」
「そして聞かせて欲しい」
「どうして家を出て帰って来なくなったの?」
どうしてって・・
貴方が浮気してる現場の動画を見て・・
貴方の事が獣の様に見えて来て・・
貴方と居る事が苦痛になった時。
お友達の家に泊まれるようになって・・
もう帰らなくても良いかって・・
私、身の回りに起こる出来事を全て受け入れて。
この時、自分のしでかした事に何となく気付く。
彼は浮気はしたけど、私の事愛してるって、やり直そうって言ってる。
私は彼の浮気を理由に自部の過去を置き去りにして好き放題やってきただけ。
たまたま楽しかっただけ。
逃げてただけ。
本当はもっとしっかりと向き合わないといけなかった。
自分の犯した罪に気付かされる。
しっかり向き合う為に彼に改めて問いかける。
私
「ねぇ・・なんで浮気なんかしたの?」
旦那
「えっ・・」ゴクリッ・・
彼は唾を飲み込み驚いた表情。
ばれてないと思ってたみたいね。
私
「あのカリンちゃんとかいう女の子」
「JDだったかな?」
「一緒にエロ動画に映ってたじゃない」
「顔出し全裸で」
「まるで犬みたいに興奮してて」
「私、あの動画を見た時に、もう無理って思ったの」
旦那
「えええええ・・」
「見てしまったのか・・」
旦那の悔やむ表情が伺える。
私
「カリンちゃんとは幸せにしてるの?」
旦那
「ち・・違う!」
「あ・・あれは・・釈明させてくれ」
そう・・
言い訳があるのね。
聞いてあげるわ。
旦那
「あれは、つい偶然魔が差して」
「初めて出会い系アプリってのを使ってみたんだ」
「最初は軽い遊びのつもりで」
「そしたらあっという間にその子が見つかって」
「『エッチさせてあげる代わりに条件があるの』・「『一緒に動画に映って』」
「理由は何か有っても私だけ被害を被らないように」
「俺も共犯って意味で」
「軽く了解したんだよ」
「そして痛い思いしたんだ」
アプリで運よく相手が見つかったって、私と似てるわね。
痛い思いって?
旦那
「一回エッチした後、知らない奴から連絡有って」
「『よくも俺の女をヤッてくれたな』、「覚悟は出来てるんだろうな』って」
「慰謝料30万よこせって電話があってね」
それ、昔からある美人局じゃん。
引っかかちゃったのね。
旦那
「どうしていいか分からず警察に相談」
「もちろん酷く怒られた」
「一応相手のカリンとその仲間も逮捕してくれたけど」
「大学生や青少年も混ざった集団で、遊ぶ金欲しさにやったみたい」
「全員不起訴か略式起訴」
「俺も大目玉」
「本当に痛い目見た」
バカねぇ・・
女が軽々しくお股開く時は要注意よ。
旦那
「奴ら、脅しだけじゃなく、動画も売れると思ってネットに流したみたい」
「おかげで会社関係に見つかって説教されたよ」
「家に帰ったら君が冷たくあしらうし」
「俺、どうしていいのか分からなくなって」
「もう最近仕事も行ったり行かなかったり」
「人生の歯車が狂ってる」
どうやら旦那は人生の歯車が悪い方に。
私は良い方に回ったのかな。
運命って分からない物ね。
アプリってきっかけで道が変わるなんて。
旦那
「俺は君だけは失いたくなかったから必死になってしまって弁護士まで連れてきちゃった」
「驚かせてごめん」
「今は君の思いを受け入れて、全てを終わらせようと思ってる」
「自分のしでかした事全てね」
彼、何かしらの覚悟を決めてるのね。
私との関係を終わらせて、自分でも何か決意を持ってるのね。
何となく不安なんだけど。
せっかくだから離婚の話しは進めておく。
それから・・
今日話せた事で、貴方の浮気は許す。
だって私も浮気したし。
過去に囚われているのは良くないわ。
好きでは無いけど、関係のあった思い出の人になる。
それだけの事よね。
人生難しい。
私の周囲で結婚や妊娠やレイプ未遂、夫婦喧嘩。
男性との熱いSEX。
3人で楽しく生活からの3P。
短い期間に凄く濃い経験をしたの。
皆が良い人で、今の私が居る。
貴方は周囲に恵まれなかったのね。
少し可哀そう。
旦那に悲哀を感じた時、私の脳裏をよぎるもの。
Libido
今、私は無意識の内に決断をした。
これじゃ旦那が可哀そう。
私だけ幸せになるっておかしいよね。
結婚して幸せに暮らして来たのに、たった一度の間違えで全てを無しにするなんて・・
ミュウちゃんご両親もご主人の不貞を何度も許して来たみたいだったし。
ミュウちゃんカップルの幸せを願って頑張った私だよね。
私、間違ってるよね。
今度は私が彼を幸せにしてあげなくちゃね。
あれ・・
なんか私の心が優しさに包まれて柔らかな黄色に染まっていく。
私の心が春色になってく。
私は今、新しい決断したの。
続く。
途中から読む→第二章「小百合の場合その11」
途中から読む→第三章「小百合の場合その22」
途中から読む→第四章「小百合の場合その30」
旦那からの電話。
別に今更構えることはないんだけど、やっぱり躊躇。
少し罪悪感もあって・・
出なきゃいけないか。
私
「はい、小百合です」
旦那
「ごめんな、回りくどいことして」
なんでいきなり謝るの?
悪いのは私のほうなのに。
旦那
「君の気持は分かった」
「でも最愛の人だから今後の事も含めて話ししたい」
その為の電話ってのは分かっている。
でも改めて言われると、何話して良いのか分からない。
旦那
「電話で話すだけっても切ないなぁ・・」
「一度どこかのファミレスでも食事行かないか?」
「コーヒー飲みながら」
そうね。
会ってみたら話すことも浮かぶかも。
ファミレスなら周りの目もあるし安心よね。
OK分かったわ。
快く了解してみる。
外出の身支度を整え、待ち合わせのファミレスに。
店の前で待ってる彼。
この光景なんか懐かしいぁ・・
ああ・・
思い出した。
このファミレス・・私たちがまだ若かった頃、お食事に使ってた店。
やるな旦那。
まだ未練があるか。
何も進展しないとは思うが。
とりあえず二人店内に入りコーヒーを注文。
おもむろに彼が話しかけてくる。
旦那
「何を話そうか迷ったけど」
「とりあえず伝えておかないいけない事」
「結婚してくれてありがとう」
「はい、これプレゼント」
えっ・・
渡された小さな箱。
中にはかわいい指輪。
何これ・・
旦那
「覚えてないかい」
「今日が二人の初デート記念日」
「君が絶対忘れないでねって言った日」
あれれ・・
忘れてた。
そう・・あれはもう8年前。
初めて彼に食事に誘われて。
一緒にこのファミレスに来て。
食事を終えて散歩してたら告白された日。
「月並みだけど僕とお付き合いしてください」って。
旦那
「特別な日だったから無理に誘ってしまってね」
「俺の為に時間貰ってありがとう」
懐かしい。
そんな時間もあった。
あの時は幸せの絶頂で、目に映るものが全てキラキラ光ってた気がする。
でも・・今は違う。
もう私はこのプレゼントを貰う価値の無い女。
気持ちは嬉しいけど、返すわ。
私
「覚えていてくれたのね」
「私でさえ忘れていたのに」
「でも・・もう私はこのプレゼントを貰うにふさわしくない女よ」
「お返しするわ」
旦那
「君の性格からそう言うと思ってた」
「だけど指輪のサイズは君に合わせた物」
「君の為に用意した物だから、君に貰って欲しい」
「特別な事など何もなく、遠慮なく貰って欲しい」
彼の気持ちが何だか嬉しいわ。
悪い気はしないし、貰っておくね。
貴方からの最後のプレゼントとして。
旦那
「そう言えば離婚の話しだったね」
「君の希望に全て合わせる」
「僕に出来る最後の愛は、君の希望を叶える事」
「何か望む事あるかい?」
なんだか今日の彼は全てにおいて優しい。
どうしたの?
復縁を願ってる?
でも、それなら離婚の話しなんてしないはず。
どうしたの?
何がしたいの?
戸惑う私。
私
「どうしたの?」
「今日はやけに優しいのね」
「何か下心でもあるの?」
旦那
「下心かぁ・・」
「もちろん一緒にやり直したいってのは有る」
「でも君の性格は一度口にしたら引かない」
「もう後戻りはできないって分かってる」
「ただね・・」
ただね・・
旦那
「俺は今も昔も変わらず、君を愛してきた」
「そして優しく接する事を心掛けてきた」
「俺はそんなに変わってないと思う」
「特に君に対する優しさは」
ああ・・そうだよね・・
恋愛中も結婚生活も、こんな感じで貴方は優しかったわ。
何も変わってないかも・・
私は気付かされる。
変わったのは私の方。
彼の浮気動画を見てからおかしくなりかけて・・
そして聖さんと出会い・・
運命の歯車に引かれて色々経験して・・
そう・・
一番変わったのは私。
彼の私に対する優しさは変わってない気がする。
旦那
「全て君の望み通りにする」
「これで良いかい?」
「そして聞かせて欲しい」
「どうして家を出て帰って来なくなったの?」
どうしてって・・
貴方が浮気してる現場の動画を見て・・
貴方の事が獣の様に見えて来て・・
貴方と居る事が苦痛になった時。
お友達の家に泊まれるようになって・・
もう帰らなくても良いかって・・
私、身の回りに起こる出来事を全て受け入れて。
この時、自分のしでかした事に何となく気付く。
彼は浮気はしたけど、私の事愛してるって、やり直そうって言ってる。
私は彼の浮気を理由に自部の過去を置き去りにして好き放題やってきただけ。
たまたま楽しかっただけ。
逃げてただけ。
本当はもっとしっかりと向き合わないといけなかった。
自分の犯した罪に気付かされる。
しっかり向き合う為に彼に改めて問いかける。
私
「ねぇ・・なんで浮気なんかしたの?」
旦那
「えっ・・」ゴクリッ・・
彼は唾を飲み込み驚いた表情。
ばれてないと思ってたみたいね。
私
「あのカリンちゃんとかいう女の子」
「JDだったかな?」
「一緒にエロ動画に映ってたじゃない」
「顔出し全裸で」
「まるで犬みたいに興奮してて」
「私、あの動画を見た時に、もう無理って思ったの」
旦那
「えええええ・・」
「見てしまったのか・・」
旦那の悔やむ表情が伺える。
私
「カリンちゃんとは幸せにしてるの?」
旦那
「ち・・違う!」
「あ・・あれは・・釈明させてくれ」
そう・・
言い訳があるのね。
聞いてあげるわ。
旦那
「あれは、つい偶然魔が差して」
「初めて出会い系アプリってのを使ってみたんだ」
「最初は軽い遊びのつもりで」
「そしたらあっという間にその子が見つかって」
「『エッチさせてあげる代わりに条件があるの』・「『一緒に動画に映って』」
「理由は何か有っても私だけ被害を被らないように」
「俺も共犯って意味で」
「軽く了解したんだよ」
「そして痛い思いしたんだ」
アプリで運よく相手が見つかったって、私と似てるわね。
痛い思いって?
旦那
「一回エッチした後、知らない奴から連絡有って」
「『よくも俺の女をヤッてくれたな』、「覚悟は出来てるんだろうな』って」
「慰謝料30万よこせって電話があってね」
それ、昔からある美人局じゃん。
引っかかちゃったのね。
旦那
「どうしていいか分からず警察に相談」
「もちろん酷く怒られた」
「一応相手のカリンとその仲間も逮捕してくれたけど」
「大学生や青少年も混ざった集団で、遊ぶ金欲しさにやったみたい」
「全員不起訴か略式起訴」
「俺も大目玉」
「本当に痛い目見た」
バカねぇ・・
女が軽々しくお股開く時は要注意よ。
旦那
「奴ら、脅しだけじゃなく、動画も売れると思ってネットに流したみたい」
「おかげで会社関係に見つかって説教されたよ」
「家に帰ったら君が冷たくあしらうし」
「俺、どうしていいのか分からなくなって」
「もう最近仕事も行ったり行かなかったり」
「人生の歯車が狂ってる」
どうやら旦那は人生の歯車が悪い方に。
私は良い方に回ったのかな。
運命って分からない物ね。
アプリってきっかけで道が変わるなんて。
旦那
「俺は君だけは失いたくなかったから必死になってしまって弁護士まで連れてきちゃった」
「驚かせてごめん」
「今は君の思いを受け入れて、全てを終わらせようと思ってる」
「自分のしでかした事全てね」
彼、何かしらの覚悟を決めてるのね。
私との関係を終わらせて、自分でも何か決意を持ってるのね。
何となく不安なんだけど。
せっかくだから離婚の話しは進めておく。
それから・・
今日話せた事で、貴方の浮気は許す。
だって私も浮気したし。
過去に囚われているのは良くないわ。
好きでは無いけど、関係のあった思い出の人になる。
それだけの事よね。
人生難しい。
私の周囲で結婚や妊娠やレイプ未遂、夫婦喧嘩。
男性との熱いSEX。
3人で楽しく生活からの3P。
短い期間に凄く濃い経験をしたの。
皆が良い人で、今の私が居る。
貴方は周囲に恵まれなかったのね。
少し可哀そう。
旦那に悲哀を感じた時、私の脳裏をよぎるもの。
Libido
今、私は無意識の内に決断をした。
これじゃ旦那が可哀そう。
私だけ幸せになるっておかしいよね。
結婚して幸せに暮らして来たのに、たった一度の間違えで全てを無しにするなんて・・
ミュウちゃんご両親もご主人の不貞を何度も許して来たみたいだったし。
ミュウちゃんカップルの幸せを願って頑張った私だよね。
私、間違ってるよね。
今度は私が彼を幸せにしてあげなくちゃね。
あれ・・
なんか私の心が優しさに包まれて柔らかな黄色に染まっていく。
私の心が春色になってく。
私は今、新しい決断したの。
続く。
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