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小百合の場合(小説)その33

最初から読む→第一章「小百合の場合その1」

途中から読む→第二章「小百合の場合その11」

途中から読む→第三章「小百合の場合その22」

途中から読む→第四章「小百合の場合その30」


泣き出しそうなミュウちゃん。
1000万の提示額に反論できない男子君。
驚いた顔のお母さん。

さっきまで楽しかったこの場がお父さんの言葉で混乱。
結納金に1000万とか頭おかしいんじゃないの?

カッーっと頭に血が上った私。
ついつい発言してしまった。

 私
 「ちょっとちょっとお父さん」
 「さっきまで良い人だと思ってたのに」
 「1000万なんて要求高すぎませんか?」
 「私の時だって100万が相場で、最近は形だけってのも増えてきたのに」

二人を守りたい一心で言わなきゃいいのに言ってしまった。
お父さんはニコリと笑い私の問いかけに答える。

 お父さん
 「小百合さん、二人の為に言ってくれてるんだよね」
 「ありがとう」
 「私は男として彼の器量を見たいんだよ」
 「これから結婚しようという男が一銭もありません」
 「実は借金だらけですとか」
 「こんなんじゃ安心して娘を嫁に出せないでしょ」

そう言われてみるとそうかも。
どこの馬の骨とも分からない奴に娘を嫁に送る。
ならばその馬の骨の実力を見たいもんだ。
分かる。
私が父親だったらそする。

 お父さん
 「男子君、君ができる精一杯の誠意を見せてくれ」
 「1000万用意出来たら無条件で娘を嫁に出す」

お父さんの気持ちは分かった。
しかし現実問題1000万なんてお金用意できないはず。
たとえ私の貯金を彼に貸しても雀の涙にしかならない。
どうしたもんか男子君?

お父さんの問いかけにしばし沈黙の男子君。
そして気持ちの整理がついたのか、深呼吸して答えた。

 男子
 「分かりました」
 「一度実家に戻って相談させて下さい」
 「答えは明日持ってきます」
 「明日お会いできますか?」

おおお!!
なんか男子君カッコイイ!
用意出来るんですか。

 お父さん
 「よし分かった、そうこなくちゃ」
 「今日は娘の部屋に泊まる事にする」
 「明日楽しみにしてる」

なんか凄い・・
男と男の意地のぶつかり合いみたな。
試そうとするお父さん。
意地になって答える男子君。
まるで好きな女性を奪い合っているみたいな。
みんなカッコいい。

男子君、足早とご実家に帰省。
残されたミュウちゃんご一家と私。
私は特別話すことも無いし、しばしお暇しようかな的な空気感。

私も外出しようと席を立った時だった。

 お父さん
 「明日が楽しみだ」
 「今日は前夜祭として少し飲みに行こうかな」
 「そうだ、小百合さん少しくらい飲みに付き合ってよ」

えええ・・
意外な展開。
別にいいけど・・
だけど一緒に飲みに行くほど仲良くないし。

少し躊躇したが、ミュウちゃんがうなだれてる。
そりゃあ上手く収まりそうな雰囲気からのどんでん返しだったから。
落ち込むよね。
お母さんが彼女の手を握ってる。
同じ女同志、家族として悲しみを共感してる。

私に出来る事。
一時でもお父さんをこの場から引き離す。
ミュウちゃんとお母さんの二人だけにしてあげる。

うん、分かった。
今私に出来る事をやるね。
この場からお父さんを引き離すね。

 私
 「そうですね」
 「私も特別用事も無いし」
 「良いですよ」
 「飲みに行きましょう」

これで少しの間ミュウちゃんを助ける事が出来るかも。
接待だと思って行ってきます。

お父さんと一緒に夜の街へ。

きらめくネオン街。
自分の気持ちが乗ってない時って、このキラキラも何だかうっとおしい。
美味しい肉が食べたいとのリクエストに応えてステーキハウスに。
まぁまぁ良いお値段のお店。
高級なワインを一本とって乾杯。
食事をしながらしばしお父さんと会話を楽しむ。

 私
 「お話上手で相手を引き込む魅力をお持ちですね」
 「若い頃はさぞかしおもてになったのでは?」

他愛もない社交辞令。
これに気をよくしたお父さん。

 お父さん
 「いやー、若い頃は俺もイケイケでね」
 「地元じゃ仕事も女もブイブイ言わせたもんさ」

どんどん饒舌に語り始め。

 お父さん
 「実はアソコにも自信があってね」
 「付き合ってきた女は俺の事が忘れられないって言ってたよ」

少しワインが回ってきたようね。
公衆の面前で下ネタとは・・

 お父さん
 「小百合さんは最近どうなの?」
 「嫁ぎ先から出て娘の部屋に住んでるみたいだけど」
 「最近乾いてるんじゃないの?」

来たよ。
私もいい年だから、今更あからさまに拒否はしないけど。
もう少しましな話し方とかないの?
ワインが効きすぎてるかもね。
うざいからもう一本ワイン入れて飲ましちゃえ。
ベロンベロンにしてやれ。

 私
 「うふふ・・」
 「どうでしょうかねぇ・・」
 「乾いてるかなんて分かりません」
 「あっ、もうちょっと飲みたいな」
 「もう一本ワインとってもいいですか?」

なんか勘違いしているみたい。
もっと飲もうって、また良いワインを入れてる。
上機嫌みたい。

貴方が今回のキーマンじゃなかったら、この場から遠慮なく消えてるわ。
これからの事があるから耐えてるだけよ。
我慢、我慢。

私のお父さんを飲ましてそのまま真っ直ぐ帰る作戦は成功。
結構飲んで千鳥足のお父さん。
肩を貸してあげないといけない状態。

しかしこのおやじ暴走し始める。
肩を貸したのをいい事に私の胸を触り始め。
事もあろうかキスしだしたり。
うげぇー・・
本当にこいつがキーマンじゃなかったら、この場ではり倒す。
我慢、我慢。

なんとか部屋に連れ帰り、リビングのソファーに寝かせ、私はシャワーを浴びて自室に戻った。
ふぅ・・
疲れた。
ミュウちゃんとお母さんは彼女の部屋で寝てるみたい。
私も早く寝ちゃおう。
ベットに入り、睡魔に襲われて眠りにつき、しばらくして事件は起こった。

続く。
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