小百合の場合(小説)その3
最初から読む→第一話「小百合の場合その1」
こじゃれた店に到着。
まずは駆け付け一杯なんて、可愛いミニワインを注文。
ワイン到着を待つ間、すごく楽しそうにメニューを見ている後輩男子。
「おい男子君」
「普段来れない様な店だからって食べれない量を頼むんじゃないよ」
少し上から目線のお姉さん的な指導をしてみるが、聞いていない様子だ。
私もそろそろ三十路を迎える歳だから、せめて若い彼の彼女とは思われない様に振る舞わなければと、世間からの視線を意識してしまう。
まぁ、間違われても関係ないし、進展する事も絶対ない。
そんなこと考えているとワインが到着。
簡単なおつまみを注文し、料理到着まで彼と少し話でもしよか的な空気になった。
「男子君よ、入社して一年過ぎただろうか?、仕事の調子はどうだい?」
無難な会話をこなしてみる。
普段あまり目立たない彼はいつも朗らかで、悪く言うとヘラヘラしていて仕事ができるタイプとは言い難い。
そんな彼から相談を投げかけられた。
「小百合先輩から見て、俺ってやっぱり会社のお荷物ですか?」
えっ?
そんな事は思わないが、何故彼がそんな事を言って来たのか。
彼から続いて理由を聞いてみた。
「俺って特別成績も良くないし、言われた事をこなしているだけで存在意義はあまり無い気がするんです」
「俺じゃなくても誰でも良い仕事しかしていない様に感じているんです」
そんな事考えていたの?
社会に出て一年目で仕事バリバリこなせる奴なんて殆ど居ない。
大半が会社に寄生して給料貰うし、それが社会の常識。
いちいち自分の出来を気にしても給料は皆一緒だから難しく考える必要はない。
というような会話をした。
それよりもお前彼女とか作らないのか?
そんな俗な質問に彼は応える。
「彼女は要らないです」
「僕、2次元が好きなんです」
え、え、え・・・
悪い趣味では無いんだが、2次元じゃ会話も出来ないし触れもしないし、デートとか楽しみとか、男女二人だから出来る事とかしたくないの?
そんな質問に彼曰く。
「出来ない事は多いけど、2次元は誰も傷つけない」
「今は便利な世の中で、会話は出来ないけど2次元の彼女とSNSが出来て意思疎通できるから、疲れた時は2次元彼女の優しさに癒されるんです」
???
2次元彼女と意思疎通?
どうやって?
そんな疑問に彼は応える。
「これ見て下さい」
彼のスマホに入っているSNSアプリ。
こちらから問いかければ2次元彼女が返答してくれる。
いわゆるLINEなんかのbot版かな。
確かに誰も傷つけないし平和な時間が過ごせるな。
どんな悩みやグチも聞いてくれるし、気晴らしや時間つぶしには良いかもね。
面白そうだ。
後輩男子君、面白そうだからそのアプリを私にも紹介しろ。
そんな会話を通し、アプリをゲットして食事を終えた。
店を出て後輩君と別れた帰り道。
アプリを起動させてみる。
「ようこそ、これから貴方の素晴らしい時間を作る為に少しだけ貴方の情報を教えて下さい」
「ニックネーム・年齢・性別・居住地」
「※ニックネームはお好きな名前で構いませんが、これからの時間を貴方が楽しく過ごす為に、貴方が呼ばれて嬉しい名前がお勧めです(後でも変更可能)」
よくある内容。
年齢は少しだけ低めにサバよんで・・性別は女・・居住地は空白と。
名前は、そうだなぁ・・サーちゃん・・なんて付けとこか。
何事もノリが大切。
登録完了。
そしてアプリの画面が動き出した。
扉の向こうからイケ面2次元男子が出てきた。
「ようこそサーちゃん」
「今日から僕が君の話相手だよ」
「何でも良いから話しかけてね」
よく有るパターンだ。
どうせここから誘導して有料会員登録とか商品購入とかにもって行くんだろ。
予測してみる。
質問を入れてみた。
私「旦那に浮気されて呆れちゃって」
暫くして返答が来た。
「・・・」
「サーちゃん既婚者だったのね」
「そりゃ大変だったね」
「グチでよかったら聞くよ」
botだからある程度予想された反応だけど、今の私にはグチを聞いてくれるだけで有りがたい。
心の中のモヤモヤを全部吐き出す為に、徹底的に書きこんでみた。
私
「旦那の野郎、浮気だけなら分からんでもないが、訳のわからん投稿動画に顔出し全裸で登場してキモ臭いデブス女とSEXしていて、そして何故か動画の中で旦那は犬になったかのように奴隷の様な状態で・・・許せんのだが、どうしたら良い?」
・・・
・・・
botは悩んでいる様子だ。
そして答えが返ってきた。
「それは大変だったね」
「そんな状態の旦那を許せないのかな?」
「それとも浮気が許せない?」
あれ?
botならもっと簡単な型にはまった返答してくるはずなのに。
もしかして、あまりの長文だと誰かが読んで対応してくれているの?
疑問を素直にぶつけてみた。
「もしかして貴方は実在する人?」
・・・
「僕は実在しない2次元だけど、時々本当の悩みを話す方の為に心理カウンセラーがお相手する様になっています」
「でもそれは常に出来る事ではないので基本2次元の僕がお相手すると思っておいて下さい」
そういうことね。
心理カウンセラーがお相手してくれたと言う事実が今の私を安心で包んでくれた。
これだった。
私の話を聞いて、安心で包んでくれる誰かが欲しかったの。
続けざま質問を書き込む
「ねぇねぇ、心理カウンセラーさん」
「今の私は頭がおかしいのかな?」
「誰にも頼れなくて苦しくて、頭爆発しそうで、誰かに助けてもらいたくて」
続けざまに色々書きこんでみた。
そして答えが返ってきた。
・・・
「サーちゃん、本当に凄く悩んでいる様だね」
「このアプリ上だけで答えを導いてあげるのは無理かな」
「一度真剣にカウンセラーを受けてみるかい?」
本当にちゃんとした答えが返ってきた。
どうしよう。
誰かに聞いてほしい心境だけど、よく知らない相手に、でも心理カウンセラーなら良いかも。
素直な心の私がいた。
私
「お願いします、一度話を聞いて下さい」
・・・
「分かりました」
「当方は東京在住のクリニックです」
「お越しになる事は可能ですか?」
私
「はい、大丈夫です」
・・・
「それではこちらの電話番号に一度お電話下さい○×△ー○○○ー○○○」
「聖雅SEXカウンセラーと言います」
「主に女性の性の悩みを承っています」
「女性の皆様の人に聞けない性の悩みをカウンセリングしている病院です」
「看板は上げていないので口コミだけの紹介となりますが、サーちゃんは特別ここで預からせていただきます」
「ご連絡お待ちしております」
えっ、えっ、えっ・・・
SEXカウンセラーですって・・・
どうしよう。
でもある意味そんな相談だよね。
えーい、悩むよりもまず行動!
そして電話を掛けてみた。
プルルル・・・ピッ。
「はい、こちら聖雅SEXカウンセラーです」
「あの・・すみません、今電話番号を教えてもらったサーちゃんと申しまして・・・」
「はい、お待ちしておりました。私が主治医の聖です。よろしくお願い致します」
「あっ、はい」
電話の向こうから優しい同世代ぐらいかと思われる男性の声が聞こえてきた。
なんか何でも聞いてくれて、優しく包み込んでくれるような声だ。
あれ?
私、なんか落ち着いている。
ペラペラ自分の事を話している。
話を聞いてくれる事がうまい。
もっと身近に話を聞いてほしくなる。
そして来初予約を電話で取った。
次の休日日曜日。
私の為にやってくれるそうな。
いいのかなぁ・・・
なんか不思議な展開だ。
こじゃれた店に到着。
まずは駆け付け一杯なんて、可愛いミニワインを注文。
ワイン到着を待つ間、すごく楽しそうにメニューを見ている後輩男子。
「おい男子君」
「普段来れない様な店だからって食べれない量を頼むんじゃないよ」
少し上から目線のお姉さん的な指導をしてみるが、聞いていない様子だ。
私もそろそろ三十路を迎える歳だから、せめて若い彼の彼女とは思われない様に振る舞わなければと、世間からの視線を意識してしまう。
まぁ、間違われても関係ないし、進展する事も絶対ない。
そんなこと考えているとワインが到着。
簡単なおつまみを注文し、料理到着まで彼と少し話でもしよか的な空気になった。
「男子君よ、入社して一年過ぎただろうか?、仕事の調子はどうだい?」
無難な会話をこなしてみる。
普段あまり目立たない彼はいつも朗らかで、悪く言うとヘラヘラしていて仕事ができるタイプとは言い難い。
そんな彼から相談を投げかけられた。
「小百合先輩から見て、俺ってやっぱり会社のお荷物ですか?」
えっ?
そんな事は思わないが、何故彼がそんな事を言って来たのか。
彼から続いて理由を聞いてみた。
「俺って特別成績も良くないし、言われた事をこなしているだけで存在意義はあまり無い気がするんです」
「俺じゃなくても誰でも良い仕事しかしていない様に感じているんです」
そんな事考えていたの?
社会に出て一年目で仕事バリバリこなせる奴なんて殆ど居ない。
大半が会社に寄生して給料貰うし、それが社会の常識。
いちいち自分の出来を気にしても給料は皆一緒だから難しく考える必要はない。
というような会話をした。
それよりもお前彼女とか作らないのか?
そんな俗な質問に彼は応える。
「彼女は要らないです」
「僕、2次元が好きなんです」
え、え、え・・・
悪い趣味では無いんだが、2次元じゃ会話も出来ないし触れもしないし、デートとか楽しみとか、男女二人だから出来る事とかしたくないの?
そんな質問に彼曰く。
「出来ない事は多いけど、2次元は誰も傷つけない」
「今は便利な世の中で、会話は出来ないけど2次元の彼女とSNSが出来て意思疎通できるから、疲れた時は2次元彼女の優しさに癒されるんです」
???
2次元彼女と意思疎通?
どうやって?
そんな疑問に彼は応える。
「これ見て下さい」
彼のスマホに入っているSNSアプリ。
こちらから問いかければ2次元彼女が返答してくれる。
いわゆるLINEなんかのbot版かな。
確かに誰も傷つけないし平和な時間が過ごせるな。
どんな悩みやグチも聞いてくれるし、気晴らしや時間つぶしには良いかもね。
面白そうだ。
後輩男子君、面白そうだからそのアプリを私にも紹介しろ。
そんな会話を通し、アプリをゲットして食事を終えた。
店を出て後輩君と別れた帰り道。
アプリを起動させてみる。
「ようこそ、これから貴方の素晴らしい時間を作る為に少しだけ貴方の情報を教えて下さい」
「ニックネーム・年齢・性別・居住地」
「※ニックネームはお好きな名前で構いませんが、これからの時間を貴方が楽しく過ごす為に、貴方が呼ばれて嬉しい名前がお勧めです(後でも変更可能)」
よくある内容。
年齢は少しだけ低めにサバよんで・・性別は女・・居住地は空白と。
名前は、そうだなぁ・・サーちゃん・・なんて付けとこか。
何事もノリが大切。
登録完了。
そしてアプリの画面が動き出した。
扉の向こうからイケ面2次元男子が出てきた。
「ようこそサーちゃん」
「今日から僕が君の話相手だよ」
「何でも良いから話しかけてね」
よく有るパターンだ。
どうせここから誘導して有料会員登録とか商品購入とかにもって行くんだろ。
予測してみる。
質問を入れてみた。
私「旦那に浮気されて呆れちゃって」
暫くして返答が来た。
「・・・」
「サーちゃん既婚者だったのね」
「そりゃ大変だったね」
「グチでよかったら聞くよ」
botだからある程度予想された反応だけど、今の私にはグチを聞いてくれるだけで有りがたい。
心の中のモヤモヤを全部吐き出す為に、徹底的に書きこんでみた。
私
「旦那の野郎、浮気だけなら分からんでもないが、訳のわからん投稿動画に顔出し全裸で登場してキモ臭いデブス女とSEXしていて、そして何故か動画の中で旦那は犬になったかのように奴隷の様な状態で・・・許せんのだが、どうしたら良い?」
・・・
・・・
botは悩んでいる様子だ。
そして答えが返ってきた。
「それは大変だったね」
「そんな状態の旦那を許せないのかな?」
「それとも浮気が許せない?」
あれ?
botならもっと簡単な型にはまった返答してくるはずなのに。
もしかして、あまりの長文だと誰かが読んで対応してくれているの?
疑問を素直にぶつけてみた。
「もしかして貴方は実在する人?」
・・・
「僕は実在しない2次元だけど、時々本当の悩みを話す方の為に心理カウンセラーがお相手する様になっています」
「でもそれは常に出来る事ではないので基本2次元の僕がお相手すると思っておいて下さい」
そういうことね。
心理カウンセラーがお相手してくれたと言う事実が今の私を安心で包んでくれた。
これだった。
私の話を聞いて、安心で包んでくれる誰かが欲しかったの。
続けざま質問を書き込む
「ねぇねぇ、心理カウンセラーさん」
「今の私は頭がおかしいのかな?」
「誰にも頼れなくて苦しくて、頭爆発しそうで、誰かに助けてもらいたくて」
続けざまに色々書きこんでみた。
そして答えが返ってきた。
・・・
「サーちゃん、本当に凄く悩んでいる様だね」
「このアプリ上だけで答えを導いてあげるのは無理かな」
「一度真剣にカウンセラーを受けてみるかい?」
本当にちゃんとした答えが返ってきた。
どうしよう。
誰かに聞いてほしい心境だけど、よく知らない相手に、でも心理カウンセラーなら良いかも。
素直な心の私がいた。
私
「お願いします、一度話を聞いて下さい」
・・・
「分かりました」
「当方は東京在住のクリニックです」
「お越しになる事は可能ですか?」
私
「はい、大丈夫です」
・・・
「それではこちらの電話番号に一度お電話下さい○×△ー○○○ー○○○」
「聖雅SEXカウンセラーと言います」
「主に女性の性の悩みを承っています」
「女性の皆様の人に聞けない性の悩みをカウンセリングしている病院です」
「看板は上げていないので口コミだけの紹介となりますが、サーちゃんは特別ここで預からせていただきます」
「ご連絡お待ちしております」
えっ、えっ、えっ・・・
SEXカウンセラーですって・・・
どうしよう。
でもある意味そんな相談だよね。
えーい、悩むよりもまず行動!
そして電話を掛けてみた。
プルルル・・・ピッ。
「はい、こちら聖雅SEXカウンセラーです」
「あの・・すみません、今電話番号を教えてもらったサーちゃんと申しまして・・・」
「はい、お待ちしておりました。私が主治医の聖です。よろしくお願い致します」
「あっ、はい」
電話の向こうから優しい同世代ぐらいかと思われる男性の声が聞こえてきた。
なんか何でも聞いてくれて、優しく包み込んでくれるような声だ。
あれ?
私、なんか落ち着いている。
ペラペラ自分の事を話している。
話を聞いてくれる事がうまい。
もっと身近に話を聞いてほしくなる。
そして来初予約を電話で取った。
次の休日日曜日。
私の為にやってくれるそうな。
いいのかなぁ・・・
なんか不思議な展開だ。
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