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小百合の場合(小説)その5

最初から読む→第一話「小百合の場合その1」

いよいよ今日が約束の日。
休日に早起きしてシャワーからドレスアップの化粧。
ドレッサーの前で仕上げの赤いルージュを引いて、鏡に映る自分に念じる。
失敗しないよう、焦らず焦らず。
何の理由で自分に念じているのかは、自分の中に甦った恋愛感。
片思い感?
なんにせよワクワクを抑えられないo(^▽^)o
眠っている旦那を放置して早朝の駅へGo
普段よりも素早く電車を乗り継ぎ新幹線で東京へ。
片道1時間ちょっとだけど、新幹線の席でワクワク感を抑えられない自分がいた。

メッセアプリに「今から新幹線乗ります(*^_^*)」と送り、窓の外を眺めながらこれから起きる展開を想像してみる。
最初に丁寧な挨拶は必要だよね。
第一印象で決められちゃうから丁寧な挨拶で最後に白い歯を見せてニコッ(* ´ ▽ ` *)
好印象を伝えたら、忘れちゃいけないのは常に相手を意識している様な視線を送りながら笑顔でニコッ(* ´ ▽ ` *)
聖さんが私の視線に気付いたら距離を10㎝だけ近づけてニコッ(#^.^#)
そしたら聖さんも気がついて・・・そして・・そして・・
彼が私の手を取ってくれて・・そしたら・・そしたら・・
♪。゚o。(★・ω・)人(・ω・★)。o゚。♪。゚o。(★・ω・)人(・ω・★)。o゚。♪
きゃーーーーーー❤
想像を超して、妄想していたらあっという間に東京到着。
恥ずかしい\(//∇//)\。

いよいよ決戦の時。
あらかじめ彼から「駅付いたら迎えに行きます」と頂いている。
アプリで到着報告。
すぐさま返信有り。


 「お疲れ様、お待ちしておりました」
 「3番改札の前に居るよ」

 「分かりました、すぐ行きまーす」

改札に向かうとそこには写真で見たイケ面ナイスガイ発見。
うわぁ・・・本物だ!
かっくぃぃ(〃▽〃)
ワクワクがドキドキに変わる瞬間。
改札を抜けて彼の前まで小走り。
礼儀良く挨拶するつもりだった・・
そのつもりの距離を取ったのに、彼は私の側に近寄って来て、私の肩に手を置き

 「会えるのが楽しみで仕方なかった」
 「会えて嬉しいよ」
 「ようこそ僕の所へ」

えっ・・
なんかもう距離が近い。
間近に見る彼は本当にイケ面で白い歯がこぼれるナイスガイ( ´ ▽ ` )
見とれるのも早々に、礼儀良い挨拶をしようと思い

 「初めまして、私、小百合と言います」

しかし私の挨拶を断るかのように彼は言う。

 「改めてかしこまった挨拶はよそう」
 「小百合さんも良い名前だけど、今日はサーちゃんで呼んでいい?」

あれ?
今日はカウンセリングの予定だよね・・
少しうろたえる私に彼は言う。

 「大丈夫だよ、始めて電話で話した時から今までの間でずっとカウンセリングは続いているよ」
 「今まで話は十分聞いたからこれから治療を行うね」
 「久しぶりの東京でしょ、まずはゆっくり楽しんでね」

彼は私の手を取って人ごみ溢れる中をエスコートしてくれる。
なんか展開早くない?
凄く嬉しいのはあるんだけど、何だろう・・・何か自分に違和感を感じる。
少しモヤモヤしてる。
この人もしかして・・・私とヤリ目なだけ?
そんな疑念を感じながらも、イケ面に手を引かれながら人ごみを行くのも悪くは無いと悦に浸った(少しだけ)
駅を出てすぐ近くのビルの小料理屋に入る私達。
まずは私をもてなす為に予約を入れてくれてたらしい。
小粋で綺麗なお店。
門をくぐって入ると女将さんらしき女性が私達二人を個室へと導いてくれた。

個室に入って最初にドリンクを注文。


 「僕はビール、サーちゃんは?」

えっえっえっ・・・朝からお酒???
呆気にとられる私。


 「好きな物頼んで良いよ」
 「僕は夜勤明けで今がアフターみたいなもんなんだ」

えっえっえーーーー
お仕事上がりなのね。
私の為に無理しているのね。
ごめんね。
ありがとう。
よし、私も貴方に合わすわ。


 「私はGFサワーで」

 「おっ、ノリが良い」
 「このお店は俺のお気にで、今日は無理言って開けてもらったんだ」
 「2時間だけど二人きりの貸し切りだから気軽に過ごして」

うわぁぁぁ なんか凄い。
予約していた料理が運ばれ二人は皿を突きながら特別な時間を過ごせた。
色々な話ができた。
聖さんに「SEXカウンセラーってどんな仕事なの?」と質問。


 「女性の性の悩みの相談を受ける仕事だよ」
 「不感症から閉経や旦那との関係、恋愛相談とか男性の思考とかの悩みをカウンセリングを通して治療するのさ」

分かる様な分からない様な・・・
私が理解不能の顔をしていると彼が続けて説明してくれた。


 「人間は皆、自分と他人を比べてしまい、自分は特別な存在だとか、他人より劣っているとかの感情が芽生えて、そこから悩みを発生させて解決できずに苦しんでいるのさ」
 「助けて!! 誰か話を聞いて!! 苦しむ声を聞いて!!」
 「心の苦しみを治療してあげるのがカウンセリングの仕事」

 「じゃ、今回私の声を聞いて治療してくれているの?」


 「治療もあるけど、半分自分の好みもあるかもね」
 「サーちゃんが可愛かったから( ´ ▽ ` )」

えーーーー
彼、さっきから私の心に微妙に響く言葉で攻めてくる。
もしかして今日、本当に私を抱くつもり?
そりゃ私も子供じゃないから少しくらい期待もしたけど・・キスくらいで・・・
攻め込まれている自分がカッコ悪。
ちょっと仕返しのつもりで別の質問。


 「そんな病院なら結構儲けてらっしゃる?」

こんな嫌みな質問来ると思っていなかっただろ。


 「お金ですか?」
 「ふっふっふっ・・・どうですかね」
 「僕の所は保険が効きませんから一回2桁万ですよ」

えええ・・・・
私・・カウンセリングでそんなに払えない。
彼に会えるだけを考えてお金の心配していなかった。
どうしよう・・


 「心配しなくても今日は僕の病院も休みで、サーちゃんは僕の会いたい人と思って招待しました」
 「お金なんて取るわけないでしょ( ´ ▽ ` )」

ある意味ドキドキしていた私。
もう一つ質問。


 「そんな一度に2桁万払う女性ってそんなにいるんですか?」

 「本当に少しだけ居るよ」
 「東京には僕が生活できるだけのクライアントは居るのさ」
 「僕の病院が看板を上げていないのは、宣伝して有名になると困る事がある」
 「お客様は世間で言うVIPの方々で絶対秘密厳守」
 「だから口コミ紹介だけでしか仕事を受けないのさ」
 「サーちゃんは特別」

 「そのVIPな方々は普通の病院に行けば良いのに・・」
 「あっ! ゴメン、それは金額的な意味でね」

 「アハハハ(^∇^)」
 「彼女達が求めている治療はそこら辺の病院で施術不可能さ」
 「彼女達は心の解放と、自分の性欲の解放を求めている」
 「病院で心の解放はしてくれても、性欲の解放はしてくれない」
 「男性なら色々方法が有るけど、女性は世間体も有って難しいでしょ」
 「彼女達が求めているのは心の解放+性欲の解放」
 「特にVIPの方々はお金も有って、絶対秘密厳守で発散したいのさ」
 「そこで俺の病院に来る」

 「それってどういう事?」

 「俺の仕事は女性用姓処理施設」
 「女性用風俗だと思っていいよ」
 「ただ病院として開けている以上、それなりの資格も持っている」
 「領収書も婦人クリニックとでも書けば周りも信用するしね」
 「でもお客様がわざわざ高い治療費を払ってまで来る理由は僕の体」
 「僕の治療方法」
 「つまりはSEXだよ」

えっ・・えっ・・えっ・・
私は彼の言っている事を受け入れられず言葉に詰まった。
彼は続けて言う。


 「世間では羨ましい仕事かもしれないけど、クライアントは殆どVIP」
 「裕福な家の女性で年齢は僕よりも10コも20コも30コも上だよ」
 「しかも限られた時間の中で性欲の解放だから貪欲」
 「ある時は彼氏彼女を演じ、ある時は変態プレイ、ある時は奴隷を演じ・・」
 「クライアントの心の闇を開放し満足させる」
 「その為に自分を削り続ける事に少し疲れたのさ」
 「そんな時にサーちゃんとの出会いがあったんだ」

 「えっ?」
 「あの2次元アプリ?」
 「儲かっているのに何であんな事やっていたんですか?」

 「あの会社の経営者が友達でね、お願いされて暇な時だけ、暇つぶし」

 「じゃあ、私、聖さんと話せたなんて本当に偶然なんですね」

 「偶然じゃないよ」
 「君は誰かに会って新しい経験がしたいとアプリを使い、俺は癒されたくてアプリを使った」
 「心理学の世界ではこれをリビドー(libido)、無意識の中の意と言うのさ」
 「お互いの無意識が結びあってここに居る」
 「偶然じゃなく必然で二人はここにいるのさ」

 「う~ん分かった様な、分からん様な」

 「あははは(^∇^)」
 「ゴメン、ゴメン、難しい話だったね」
 「気にせずに必然の偶然だと思ってくれたら良いよ」

 「やっぱ必然の偶然の偶然だよね???(´∀`*)」

 「その通り!」
 「必然の偶然の必然の偶然!!!」
 「アハハハハハハ(^∇^)」

そんな楽しい会話を過ごしていると障子の向こうから女将さんの声が聞こえた。
「そろそろお時間でございます」
もうそんな時間か・・楽しい所だったのに。
もう少しこの時間を過ごしたかった。
これから彼の病院で診察するのかな。
そう思いながらお会計をしにレジに向かうとお店の方からお代済みとのお達し。
えっ?
いくらですか?
せめて金額だけでも?
私の問いにお店の方は答えてくれず、お代済みだけの返答。
嬉しい様な、申し訳ない様な。
でも、昔に恋愛中の時、よく旦那に出してもらっていたもん。
男の気前っていうの?
ここは甘える事にしよう。
なんか彼の背中が大きく感じる。
かっこいい・・・
なんか好きになった気がする・・
けっこう好きかも・・・
女将に店の前まで送り出してもらい、一息ついた二人。
カップルの様な空気感にまどろんでいる私に彼は話しかけてきた。


 「今日はこの後君の時間を俺の為に貰っても良い?」

あああ・・・久しぶり・・・この恋愛感❤
拒否できる訳ないじゃん。
コクリッ
うなずく私がいた。

彼の腕が優しく私の肩を抱きよせ密着した二人。
私の心臓はドキドキバクバクして、彼の手がその鼓動を読み取っているかの様に動く。
もうだめ、私、嬉しくてドキドキ止められない。
彼の顔が私の顔を覗き込むように迫って、その唇が私の唇に重なってくる。
あああ・・・
頭の中が真っ白。
OKです。
私、貴方に貰われちゃう。
そう理解した時、私の体の力は抜け、唇を離した瞬間に、私の頭を彼の胸に預けた。
(欲しい❤)
そう思ってしまった。
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うみ0930

Author:うみ0930
実体験を基に官能小説風に書いたり、架空設定で書いたりしてます。
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